ナイフと…
「あ…」
「おや、どうしました?」
「このテーブルナイフって、メスに似てるな〜って、今更だけど気づいた」
「は?」
「ジェイドがナイフを握ってるとさ…ナイフなのに、これってもしかしてメス?って思ってさ」
「おやおや、失礼ですね」
「事実だから、仕方ないだろ」
いつもと何も変わらない食事風景。
けど、俺は気づいてしまった。
本当は、気づいてはならないことなんだと思う。
テーブルナイフとメスは、よく似ている。
そしてジェイドが握っていると、シャレにならないことに。
もしかしたら、今ジェイドが握っているのはナイフではなく…なんて。
いや、みんなと同じ物を使っているから、それはありえないのだが。
いやいや…。
そうして、気になって気になって。
気にし始めたら、止まらない。
「だーい丈夫ですよ。これは皆さんと同じ、テーブルナイフです。私も、食事は普通にしたいので」
「……だよな」
「それに、私がメスを使うのでしたら、『ドクトルマンボ』の時ですよ」
「………って、昨日かよ」