098)後悔


「ルーク、覚えてるか? アクゼリュスが崩落しちまった後、お前に言ったこと…」
「『幻滅させないでくれ』だろ? ……覚えてるさ…みんなの言葉は」
「そっか」

本当は、忘れたいほどの言葉なんだろうけど。
お前は変わるために、覚え続けるんだろうな。

「…うん。ホント、あの時の俺は……後悔してるよ」
「俺も…さ、後悔してたぜ?」
「何が? 何で?」
「お前に、あんな言葉を言っちまったことに、だ」

確かに、あの時のルークは酷かったさ。
酷かったから、みんなああ言ったし…。
あの状況じゃ、仕方ないさ。
本当はさ、励ますような言葉を言ってやりたかった。
けど、俺にはお前のしたことの重大さは、頭では分かっちゃいるけど…。
そう…結局、言葉で何を言ってもダメだと分かった。
だから、言葉を言うことも、側に居てやることも俺には出来ない。
ミュウは、その辛さを嫌というほど知っているから側に居られたんだと思う。
同じ、痛みだから…。

「でも、それって別に、後悔することじゃねーと思うぜ? 逆に、言って当然なんだし」
「…本当、変わってないし、変わったな」
「よく分かんねーぞ」
「いいんだよ。俺にしか分からなくて」
「はあ?」

そうやって言われるとさ、後悔してることに後悔するよ。
まったく、お前ってヤツは。

「何が言いてーのか、さっぱりだ」
「はははっ」
「ったく」

なあ、知ってるか?
お前がいろいろ後悔しているようにさ。
俺も結構、後悔してんだぜ?

お前を一番に支えられなったことを、さ。
今でも後悔してる。
多分、これからも。
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