084)冷静
「冷静な奴って、どーすればなれるんだ?」
一瞬、一瞬だが、俺の聞き間違いかと思った。
が、ルークの目がマジだったため、聞き返すのやめて理由を尋ねた。
「何でまた? 冷静な奴ってのは、そこの大佐を見りゃ分かるだろ?」
「アレじゃ参考にならねぇ。ってか、『冷静』が嫌味になっちまうって」
た、確かに。
否定が出来ない辺り、俺もそう思う節があったんだな。
「じゃあ、どんなのが冷静なんだよ?」
「勿論、クールでイケてる奴」
「…大佐は、まあイケてるかは置いといて」
「永遠に置いといていーぞ」
「…あ、そ。いや、大佐はクールじゃないのか?」
少なくとも、この中の誰よりも冷静に物事を見ている。
変に、感情を出したりもせずに。
そう言うのを、冷静だ言うと思うのだが…。
ま、まあ…何というか、
「へっ? ジェイドってお茶目なおっさんだろ?」
そう、言えなくもない。
軽いような発言も見られるが、それはコミュニケーションだろうし。
いや、あのお茶目は本当の自分を隠すための蓑…か?
いやいや、お茶目なおっさんが、本当のおっさんで…。
長年培ってきた、世渡りの方法とか。
「まあ…否定はしないが」
「なー、どーすればいい? 俺も、クールに生きてみてぇ!」
「どうすればって…そうだなぁ」
一番参考になるだろう大佐はああだしなぁ。
まあ、参考にできなくはないから。
「長く、生きることじゃねぇか? 長年積み重ねてきた経験だ」
「ってことは、俺もジェイドくらいの歳になれば、クールな人間になれるのか?」
「35のルークか…」
試しに、その歳のルークを想像してみる。
……。
………。
…………。
……………。
か、変わってねぇ!
見た目は歳食ったけど、中身は全然だ。
想像力が乏しいのか?
いや…多分…。
「ルークは…いくつになっても、ルークなんだな…」
「はあ?」
そーゆーこと、なんだろうな。