063)新鮮


いつもの朝。
いつものメンバーと顔を合わせる。
そこまでは『いつもの』だった。
一つだけ、違うことがある。

「何か、たまにはこーゆーのもいいよな?」
「ええ。新鮮な気分ですね」
「でも、ちょっと緊張しませんかぁ?」
「そ、そうね。少しだけ」

視線が、一点に注がれてる。
一人だけ、『いつもの』ではない人物が居た。
ガイ・セシル。
彼が『いつもの』ではないのは、

「…やっぱ、変か?」

髪型だった。
濡れてもいないのに、おろされている髪。
たったそれだけで、何か違うものが感じられているのだった。

「うーん、何か落ちつかないな」
「まあ、ガイ。髪を上げてはなりません!」
「そうだよ。そっちのガイもカッコイイよ☆」
「そうね」
「わ、分かったから、あまり近づかないでくれ」

髪を無理やり上げようとすると、女性陣からの圧力がかかる。
体質的にも逆らえないガイは、黙って受け入れるだけで…。

「ねー、ガイ。その髪型でバーテンダーの格好になってよ」
「そうですわね。さあ、着替えなさい」
「…念のために聞くけど、俺に拒否権は」
「ないわ」
「…だよな」

その日一日、女性陣におもちゃにされたガイであった。
これもこれで、新鮮なことに違いない。
inserted by FC2 system