052)楽園
「やっぱ、アルビオールの譜業機関はいいよな〜」
オイルまみれになりながら、うっとりとそんな台詞を言う。
本当に幸せそうだ。
「んなの、どれも一緒だろ?」
「ルークは分かってないな〜。ほら、ここ! ここのこの部分」
「はぁ? どれだよ?」
「これだよ。この部分はな、他のと比べて形がいいんだよ」
「…全っ然、分かんねーぞ」
ルークの目からしてみれば、譜業はみんな似たり寄ったり。同じに見える。
ガイの言う、ちょっとした違いも分からなかった。
いや、分かってしまえば、仲間入りだ。
「はぁ〜ん。アルビオール最高!」
「うおっ!」
更に、うっとりとしている。
目が危ない。
「おーい、ガ〜イ。戻ってこーい」
揺さぶっても反応がない。
どうやら完全にトリップしてしまったようで。
これ以上呼びかけても、暫くは帰ってこないのは間違いない。
ガイの行った先は、ガイにとってはパラダイスだからだ。
どんな世界かは、簡単に想像が付くが…。
「仕方ねーな…ほっとくか」
とりあえず、そうすることにした。